― カリスマリーダー不要の組織づくりとは ―
著:中竹竜二
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はじめに
この本を読んでいて、派手な気持ちにはならなかった。
テンションが上がるわけでも、やる気に火がつくわけでもない。
ただ、読み進めるうちに、
「ああ、職場って本当はこういうものかもしれないな」
そんなことを、一人で静かに考えていた。
最悪のリーダー像を眺める
本書の序盤では、「理想のリーダー」より先に
**「最悪のリーダー」**が淡々と挙げられていく。
言うことが変わる。
強い人には弱く、弱い人には強い。
責任は取らない。
感情的で、気分次第。
読んでいて、誰かの顔が浮かぶ人もいるだろう。
かつての上司かもしれないし、
もしかすると、少し前の自分かもしれない。
派手な悪ではない。
でも、確実に組織を疲れさせる。
理想のリーダーは、意外と地味だ
では、理想のリーダーはどんな人か。
本書が挙げる条件は、とてもシンプルだ。
- ブレない
- 言動に一貫性がある
能力の高さでも、カリスマ性でもない。
昨日と言っていることが、今日も同じかどうか。
それだけで、人は案外安心する。
派手さはないが、長く効く。
ビジョンは、物語と台本まで用意する
リーダーの仕事として紹介されるのが、VSSマネジメントだ。
- Vision:目指す姿を描く
- Story:そこへ向かう道のりを語る
- Scenario:裏側の台本を用意する
「目標はこれだ」と言うだけでは足りない。
途中で何が起きるのか、
どんな選択肢があるのか。
そこまで考えるのが、リーダーの役割だと書かれている。
スキルとスタイルの違い
印象に残ったのが、スキルとスタイルの話だ。
スキルは点。
評価され、比べられ、点数がつく。
スタイルは線。
あるか、ないか。
良し悪しではなく、その人らしさ。
格好よくなくてもいい。
ただ、自分にしかない線を引けているかどうか。
それが長く働くうえでは大事らしい。
期待を手放すという考え方
リーダーは、部下に期待する。
部下も、リーダーに期待する。
でも本書では、
その期待を、あえて諦めるという話が出てくる。
期待を諦めたとき、
相手は見放されたのではなく、
自分で立つ場所を見つける。
少し突き放すようだが、
長く見れば、優しさなのかもしれない。
リーダーの究極の役割
印象的だった一文がある。
リーダーにしかできないことを、ゼロにする。
部下から何も戻ってこなくなる状態。
それが、リーダーとしては本望だという。
最初は少し寂しく聞こえるが、
組織としては、健全なのだろう。
成功と成長は、別のもの
数字が出ている。
結果が出ている。
それは成功かもしれない。
でも、それだけでは人は育たない。
本書は、成功と成長をはっきり分けて考える。
成果に集中しすぎると、
フォロワーは、ただの作業者になってしまう。
フォロワーの仕事は、地味だ
フォロワーとしてのチャンスは、
派手な挑戦ではない。
雑務を任されること。
地味な仕事を、きちんとやること。
そして、少しだけ+αを続けること。
リーダーになると、
こういう仕事はできなくなる。
今やっている雑務が、
後になって効いてくる。
そんな話だった。
組織は、人の集まりだ
どんな組織にも、クセがある。
理不尽もある。
それを完全に否定するのではなく、
調整しながら適応していく。
フォロワーシップとは、
従うことではなく、
組織の中で自分の立ち位置を探す力なのだと思った。
読み終えて
読み終わったあと、
何かを今すぐ変えたくなるわけではない。
でも、
明日の職場での見え方が、少しだけ変わる。
リーダーとは何か。
フォロワーとは何か。
そして、自分は今どこに立っているのか。
そんなことを、
静かに考えたくなる一冊だった。

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